うい過払い金|主文 1 原告の請求を棄却する。

過払い金の割合で発明をした「無機質繊維強化炭素複合材料 用の柔軟性中間材及びその製造方法」に関する発明の特許を受ける権利を富 士スタンダードリサーチ株式会社(以下「富士スタンダードリサーチ」とい う。


昭和57年4月から平成元年3月まで,原告は,C(以下「 C」という。
)教授が主宰する東大生研の第4部C研究室(以下,単 に「C研究室」という。
)に所属していた。
イ被告は,昭和62年5月20日に設立された,繊維強化炭素材料の生 産・加工・販売等を目的とする株式会社である。
(2) 特許の出願経過 ア富士スタンダードリサーチは,昭和61年8月2日,発明の名称を「 無機質繊維強化炭素複合材料用の柔軟性中間材及びその製造方法」とす る発明について,C,原告,B(以下「B」という。
),D(以下「 D」という。
)及びE1(以下「E」という。
)の5名を発明者として 願書に記載し(ただし,Eは「E2」と記載),特許出願(特願昭61 −182483号。
以下「本件特許出願」という。
)をした(乙5, 6)。
イ富士スタンダードリサーチは,昭和62年6月30日,被告に対し,本 件特許出願に係る発明の特許を受ける権利を譲渡し,被告は,同年8月 12日,その旨の特許出願人名義変更届をした(乙6,7)。
被告は,平成3年4月20日付けで特許請求の範囲等の補正をした 後,平成6年2月10日,本件特許出願に係る特許権の設定登録(特許 第1822657号。
請求項の数2)を受けた(乙5,6。
以下,この 特許権に係る特許を「本件特許」という。
)。
(3) 本件特許に係る発明の内容 本件特許に係る特許請求の範囲の請求項1及び2の記載は,次のとおり である(以下,請求項1及び2に係る発明を併せて「本件各発明」とい う。
)。
「1 少なくとも,軟化性を有する石油及び/又は石炭系バインダーピツ チ粉末と軟化性を有していない石油及び/又は石炭系コークス粉末から なる混合粉末が包含された複数の強化用繊維を芯材とし,その周囲に熱 可塑性樹脂からなる柔軟なスリーブを設けたことを特徴とする無機質繊 維強化炭素複合材料用の柔軟性中間材。
」 「2 複数の強化用繊維を,少なくとも軟化性を有する石油及び/又は石 炭系バインダーピツチ粉末と軟化性を有していない石油及び/又は石炭 系コークス粉末からなる混合粉末流動層に導入して,各強化用繊維間に 混合粉末が包含された芯材を形成し,次いで該芯材を熱可塑性樹脂で被 覆して芯材の周囲に柔軟なスリーブを設けることを特徴とする無機質繊 維強化炭素複合材料用の柔軟性中間材の製造方法。
」 3 争点 本件の争点は,原告は本件各発明の発明者か(争点1),原告,被告 及び富士スタンダードリサーチの三者間,又は原告及び被告の二者間におい て,被告が原告と被告間の本件各発明の特許を受ける権利の譲渡合意に基づ く富士スタンダードリサーチの原告に対する譲渡対価の支払債務を引き受け る旨の合意をしたか(争点2),被告が原告に支払うべき上記譲渡対価の 額(争点3)である。
第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(原告の発明者性)について (1) 原告の主張 ア本件各発明は,原告の単独発明である。
原告が本件各発明を行った経 緯は,以下のとおりである。
(ア) 原告は,昭和57年4月ころから,C研究室において,炭素繊維 を補強材(filler)とし,炭素をマトリックス(matrix)とする高強 度を有する複合材料である「炭素繊維強化炭素複合材料」(以下「C/ C複合材料」という。
)について,マトリックスとなる炭素原料に既 に炭化された安価なコークス粉と炭素質バインダーを使用し,これを 炭素繊維と共に直接ホットプレスすることによって,簡便かつ短時間 にC/C複合材料を得る製造方法の開発研究に着手した。
その当時,C/C複合材料は,機械的特性,耐熱特性,耐蝕性,摩擦 特性,熱・電気伝導性,軽量性,寸法安定性などに優れた特性を有す ることが知られていたが,従来の製造方法では製造コストが極めて高 くなるため,スペースシャトルの耐熱タイル等宇宙・航空機用の耐熱 材料及び制動材料に主に用いられていた以外に,一般民生用,一般産 業用にはほとんど実用化されていなかった。

監査請求期間

地方自治法242条2項本文が1年間の監査請求期間を定めた趣旨は,普通地方公共団体の機関,職員の行為について,いつまでも争い得る状態にしておくことは法的安定性の見地から見て好ましくないことによる。
支出負担行為について,支出命令,支出(狭義)がされて損害補てんの監査請求をし得るまで監査請求をし得るとすれば,本件事案のように支出負担行為時から相当長期を経過してもなお支出負担行為を争い得ることとなり,法的安定性を害し,法が1年の監査請求期間を定めた趣旨に反する。
住民監査請求制度は,違法・不当な財務会計上の行為又は怠る事実について予防・是正を監査委員に請求する権能を住民に与え,また,住民訴訟は違法な財務会計上の行為について予防・是正を裁判所に請求する権能を住民に与えるものであるが,これらの予防・是正の請求を損害の補てんの請求に限定しているわけではない。
すなわち,広義の支出は,支出負担行為,支出命令,支出(狭義)という一連の手続で行われるが,住民は,支出(狭義)がされた上での損害補てんの監査請求しか行えないわけではなく,支出負担行為がされる前においてもその防止を求める監査請求ができるし,支出負担行為がされれば,支出命令がなされる前であってもその是正を求める監査請求ができ(地方自治法242条1項),これにより抜本的な解決を図ることができる。
住民は,監査請求においてその請求が認められなければ住民訴訟を提起することになるが,住民訴訟手続においても,支出負担行為について監査請求を経由していれば,本件協定締結当時の平成14年法律第4号による改正前の地方自治法(以下「旧地方自治法」ないし「旧法」という)242条の2第1項。4号により「当該行為の相手方に対する法律関係不存在確認」の訴えを提起できるし,そうでなくとも同項1号により当該支出負担行為に基づく支出命令や支出の差止めの訴え等を提起することができ,これにより抜本的な解決を図ることができる。
そしてこれら訴訟の継続中に,支出命令や支出がされた場合には,住民は新たな監査請求を行うまでもなく,当該職員に対する損害賠償の訴えないしは当該行為の相手方に対する不当利得返還の訴えに,訴えを変更することができる。
上記のとおり本件で問題となる広義の支出についていえば,支出命令や支出(狭義)がされて当該職員に対する損害補てんの請求ができるようになる時期まで支出負担行為についての監査請求を許容しなければ住民監査請求制度の目的に反することにはならないし,そのように解しなければ住民監査請求,住民訴訟に関する住民の利益を不当に害することになるわけではない。


(イ) 原告の昭和60年ころまでの研究から,金型中にマトリックスで あるコークス粉及び炭素質バインダーを炭素繊維と交互に積層する工 程により,ホットプレスに供する前の焼成用材料を作製する方法で は,得られたC/C複合材料の強度が不十分であること,コークス粉及 び炭素質バインダーの作業性が悪いため,焼成用材料の作製に手間取 ること,作業環境が悪化すること,C/C複合材料の大型化,量産化及 びパイプなどの異形品の製造には不向きであることが判明した。
原告は,研究の過程において,当時のフランスの繊維強化プラスチ ック(fiber reinforced plastic)の製造に関する発明で,粉末が入 った装置の下部から常時空気あるいは窒素を供給して当該粒子を軽度 に流動化させておくという流動層を形成させ,そこに,繊維を導入し て粒子を付着させるという粒子付着装置等があることを知り,このよ うな粒子付着装置等を利用して,コークス粉と炭素質バインダーピッ チからなる混合粉末による流動層(fluidized bed)の中に炭素繊維の 束を通過させること等によりプリフォームドヤーン(preformed yar n)を製造することを思い着いた。
そこで,原告は,上記粒子付着装置等を利用又は入手する方法を探 していたところ,C教授から,上記粒子付着装置等を保有する企業と して富士スタンダードリサーチを紹介された。
原告は,富士スタンダ ードリサーチに対し,原告が調整したマトリックス原料を手渡して原 告の指示に従いプリフォームドヤーンの試作を行うことを依頼し,同 社が作製したプリフォームドヤーンをホットプレスしてC/C複合材料 が得られることを確認するなどし,昭和61年4月ころまでに,本件 各発明を完成させた。
(ウ) 本件特許出願に係る特許公報(甲1の1。
以下「本件特許公報」 という。
)には,原告のほか,C教授,B,D及びEが発明者として 記載されているが,実際には,本件各発明は原告の単独発明であり, 原告以外の4名は発明者ではない。
すなわち,C教授については当時 原告が所属していたC研究室の主宰者であったこと,B(現在の被告 の代表取締役)は,当時富士スタンダードリサーチの社員で,原告の 担当者であったこと,Dは当時富士スタンダードリサーチの代表取締 役,Eは同取締役であったことなどから,当時の慣習又は儀礼上,上 記4名が発明者として記載されたにすぎない。
イ以上のとおり,本件各発明は,原告の単独発明である。
(2) 被告の反論 ア本件各発明は,Bの単独発明であり,原告は,その発明者ではない。
本件各発明に至る経緯は,以下のとおりである。
(ア) 富士スタンダードリサーチでは,Bを中心として,炭素繊維(強 化繊維)を樹脂(マトリックス)で固めた複合材料である炭素繊維強 化プラスチック(以下「CFRP」という。
)の研究開発を進めた結 果,CFRPを製造する際に柔軟性中間材(プリフォームドヤーン) を使用することによって,CFRPの製造工程を簡素化し,かつ高い 品質のCFRPを製造することができることを見出し,炭素繊維等の 強化繊維と熱可塑性樹脂繊維(マトリックス)からなる混合繊維束の 周囲に熱可塑性樹脂からなる柔軟なスリーブを設けた構成のCFRP 用柔軟性中間材の発明に至った。
富士スタンダードリサーチは,昭和60年12月9日,その親会社 である富士石油株式会社及び上記研究開発を共同で行っていた大同特 殊鋼株式会社と共に,上記発明の特許出願(乙1)をした。
(イ) Bは,CFRP用柔軟性中間材の開発に併せ,炭素繊維の用途と してC/Cに着目し,その製造方法に関する研究開発を進める中で,C FRP用柔軟性中間材の熱可塑性樹脂繊維を他の材料に置き換えるこ とによって,C/C複合材料用の柔軟性中間材を構成することができる かもしれないと着想し,C/C複合材料のマトリックスとして適切な材 料を探していたところ,C教授及びFが共同執筆した「ホットプレス 法によるC/Cの開発研究」と題する論文(1984年9月発行。
乙 2)中に,バルクメソフェース粒にピッチコークス又は石油コークス 粉末を混合したものをC/C複合材料のマトリックスとして使用できる ことが示されていることを知った。
そこで,Bは,炭素繊維(強化繊維)の間にバインダーピッチ粉末 とコークス粉末の混合粉末(マトリックス)を含有させた混合繊維束 の周囲に熱可塑性樹脂からなる柔軟なスリーブを設けた構成により, C/C複合材料用の柔軟性中間材を構成することができると考え,本件 各発明を完成した。
(ウ) 富士スタンダードリサーチの代表取締役のD及び同取締役のE は,昭和60年ころ,富士スタンダードリサーチで試作した炭素繊維 をC研究室に提供し,共同研究をすることを思い立ち,C教授に対 し,その申出をしたところ,C教授が快諾したため,富士スタンダー ドリサーチ及びC研究室の共同研究が開始された。
その当時,原告 は,C教授の指導の下,C/Cとは関係のない一般的な高密度高強度炭 素材の研究を開始したところであった。
その後,C研究室におけるC/ Cの研究は原告に引き継がれたが,実際に原告がC/Cに関連する技術 を研究テーマとして本格的に取り組むようになったのは,本件特許出 願の出願日(昭和61年8月2日)より後のことである。
本件特許公報に,原告が発明者の一人として記載されているのは, BがC教授に本件各発明をC教授との共同発明として出願したい旨相 談したところ,C教授から,原告の名前も発明者の一人として入れて 欲しい旨の要請があり,この要請をいれて本件特許出願の願書にC教 授と共に原告の名前が発明者として記載されたためである。
実際に は,本件各発明の完成に至る経過において,原告の協力,関与は存在 しない。
なお,本件特許出願の願書には,B,C教授及び原告のほかに,D 及びEも発明者として名前が記載されているが,これは当時の富士ス タンダードリサーチの慣例に従って関係者の名前を儀礼的に記載した にすぎない。
イ以上のとおり,原告は,本件各発明の発明者ではない。
2 争点2(債務引受合意の成否等)について (1) 原告の主張 ア原告は,昭和61年5月ころ,富士スタンダードリサーチとの間で, 原告が有する本件各発明の特許を受ける権利を富士スタンダードリサー チに譲渡し,原告が東大生研を退職した後に,富士スタンダードリサー チが原告に対しその譲渡対価として相当対価を支払う旨の合意(以下「 本件譲渡合意」という。


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昭和

譲渡
譲渡した後,原告,被告及び富士スタンダードリサーチの三者間又 は原告及び被告の二者間で,被告が富士スタンダードリサーチの原告に対す る上記譲渡対価の支払債務を引き受ける旨の合意をした旨主張し,被告に対 し,上記合意(債務引受合意)に基づき,譲渡対価の一部請求として1億円 の支払を求めた事案である。 2 争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の 全趣旨により認められる事実である。) (1) 当事者 ア原告は,昭和39年に横浜国立大学工学部応用化学科を,昭和43年 に同機械工学科をそれぞれ修了した後,同年4月から平成11年3月に 定年退職するまでの間,東京大学生産技術研究所(以下「東大生研」と いう。